ドイツの鍼灸事情

今回は、ドイツの鍼灸事情について紹介します。

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鍼灸師という資格はあるのか

ドイツには鍼灸師という確立した資格はありません。
ドイツで鍼灸ができる資格は医師助産師ハイルプラクティカーです。

理学療法士もDry Needlingの研修を受ければ鍼をすることができます。

今回は鍼灸師により近いハイルプラクティカーについて説明します。

 

ハイルプラクティカーとは

代替医療を認められた医療従事者です。
その代替医療の中の1つとして鍼灸が位置付けられています。その他にハーブ療法、ホメオパシーなどもハイルプラクティカーの領域に入ります。

資格をとるには

フランクフルトがあるヘッセン州では2年通学し、筆記試験口頭試験の両方に合格する必要があります。合格率も10%と低いです。

フランクフルトの日本人ハイルプラクティカーの新谷さんに聞いたところ、
学校では一般概要しか教えないので資格試験に合格したからといって、鍼灸の知識が身についているわけでは無いということ。
鍼灸を教える学校があるので、さらに学校に通うことで基礎や応用力を身につけていくとのことです。

例えば
ハイルプラクティカーの授業を午前中に受けて、午後から自らが望む専門領域の学校へ通学している人もいるそうです。

合格率の低さは学校に行かなくても試験を受けれることや、働きながら試験を受ける人も多いので、そういうことも関係しているのではとおっしゃっていました。

日本の免許は有効なのか

鍼灸師の資格はドイツで確立しているわけではないので、日本の免許を持っていてもドイツで鍼をすることはできません。(刺さない鍼なら大丈夫です。)

理学療法士ならドイツの免許に書き換えることができますが、鍼灸は厳しいです。

僕の業務は資格事情もあり基本的にはマッサージがメインとなっています。

 

日本人にとってハイルプラクティカーの難易度

ネイティブでない日本人がドイツで初めてハイルプラクティカーの資格を取るのは難しいと思います。

その理由

・口頭試験がある
・2年間の通学は毎日授業漬けではない

口頭試験について

口頭試問では症例がハイルプラクティカーの範囲で扱って良いか理解しているか審査されます。

暗記分野が得意な日本人にとって、勉強さえすれば筆記試験は合格できるはず。

そして筆記試験に合格すれば口頭試験に進みます。

口頭試験は実例を出されて正確に答えていくというものです。

例えば、めまいを持った患者さんが診療所に来た場合

問診から症状を把握し治療が可能なのか、それとも医師の診断を勧めるのか。

を判断しないといけません。

ただでさえ緊張する口頭試験に加え、ドイツ語で挑むにはハードルが高いように感じます。

2年間は授業漬けの毎日ではない

ハイルプラクティカーの学校の場合は、朝から夕方まで授業ではありません。

それはドイツ語の練習として実践できる時間が減るという事です。

午前で授業が終わればその後は何をするのか。仕事があっても初めの数年は就労許可が必要になります。

運よく仕事をできる環境があったとしても、

仕事と学業を両立しながら外国で資格を取得できるか。

という問題もあります。

僕が考えるハイルプラクティカー取得までの理想のキャリア

まずは理学療法士(3年)を取得し、働きながらハイルプラクティカー取得のための学校に通うことだと現時点で思います。

・生活の基盤を作ること
・ドイツ語を仕事で使う環境を作ること

非ネイティブの人にとっては一番理想的なルートではないでしょうか。

ドイツ人でも合格率が低いので、収入もあり基礎知識を持っている上でハイルプラクティカーに挑戦するほうが合格できる可能性が高くなると思います。